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野外保育に取り組む認可外保育施設ならではのクラウドファンディングとは?│クラウドファンディング事例

しずおか すべてが僕らの遊び場!バスを利用して 現状の課題解決とこども達の自然の中での毎日をもっと充実させたい!
寄付先:NPO法人 ゆたかの木

園舎をもたず自然の中で活動する認可外保育施設野外保育ゆたか。現在は静岡市の日本平北麓の野山で活動していますが、ここ数年、夏の暑さやゲリラ的な降り方をする雨・雷などに悩まされています。

メインフィールド「ゆたかの畑」から悪天候時利用する室内スペース「ゆたかの家」までは山道を1時間程度移動しなければなりません。そこで、バスを活用することで、今までアクセスの問題で実現できなかった海での活動が可能になったり、こども達の遊びや学びの場も広がります。

そのために、170万円のクラウドファンディングに挑戦しました。

開催期間:4月12日~5月12日
達成金額:1,873,538円(目標1,700,000円) 
支援者数:194人

クラウドファンディングの寄付金額設定における"地域密着型のプライシング戦略"

在園児・卒園児の保護者+その周囲の方々の反応により、スタートダッシュに成功。開始二日間で50%を突破しました。

ここの背景には、知られざる目的的なプライシング戦略がありました。

まず準備フェーズにおけるステークホルダーの棚卸の時点で、200名程度の寄付者数が見込めることが分かっていました。しかし、一般的なクラウドファンディングの寄付額として設定する最低金額の1,000円~3,000円という水準では全員のご支援があったとしても目標金額を超えられない…というシミュレーションの現実が立ちはだかりました。

そこで、目標金額(≒コストの総額)から逆算して、最低金額を5,000円に設定することとしました。これをプライシング戦略の中での"コストベースプライシング"と言います。

コストベースプライシング:
コスト(原価)に対して、利益を上乗せして価格を設定する方法のこと。コストベースプライシングは、コスト(原価・人件費など)に対して一定の利益率を上乗せするだけであるため、コストの総数を把握すれば計算が簡単です。
一方、コストベースプライシングでは顧客や市場の変化に合わせて価格を調整することは難しいため、顧客単価をあげる施策を取りづらく、必ずしも利益を最大化できるとは限りません。

その成果として、寄付金額の内訳は下記の通りの分布となりました。

プライシング戦略

ここで仮に3,000円にしており、例えばすべての支援者が3,000円を選択したと仮定するなら…恐らく寄付総額は60万円程度となっていたはずです。しかし、プライシングを調整することにより、支援者の起される行動のシナリオは大きく変わりました。

見方を変えれば、3,000円という下限寄付金額を5,000円とすることで(≒下限寄付金額をおよそ1.6倍とすることで)寄付総額が3倍となったということが言えると思われます。

また、このような成果につながった背景には、「ゆたかの木」の既存事業との連関もあるものと考えます。

FireShot Capture 707 - しずおか森のようちえん 野外保育ゆたか - yhyutaka.com

図は、ゆたかの木の野外保育の募集要項ですが、こちらにあります入園料は税込でおよそ5万円。今回のクラウドファンディングの5,000円は、この入園料の1/10の費用と考えることができます。

在園児・卒園児の保護者の方々からすれば、ゆたかの木との経済的な取引の記憶が参照基準点となり、比較的安価な支援額として印象付けられたところもあるのではないでしょうか。

このような現象は、アンカリング効果のひとつとして考えられます。アンカリング効果とは、最初に提示された特定の特徴や数値が印象に強く残り基準点(アンカー)となり、意思決定や判断に影響をおよぼす心理傾向のこと。先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断がアンカーに近づくという現象を指します。

今回のケースでは、ステークホルダーである在園児・卒園児の保護者の方々の「ゆたかの木」との接点における入園料がアンカーとなったと考えられます。

そして、寄付キャンペーンのタイトルにもある「しずおか」という文言表現。これは「静岡市」を連想させるフレーズで、他の地域で云われる「静岡」という単語では想起されない地元感を醸成することにつながりました。

こうして「しずおか」というワードを前面に出していったことで、想定したターゲットが地元の方が多かったために地元の魅力をこどもたちに伝えることができたことで共感が生まれ、情報発信でシェアをすることを促したのではないかと考えております。

デジタルファンドレイジングで押さえるべきポイント

❏目標とする寄付金額から逆算した時、導き出されるプライシング戦略に合わせた寄付金額設定をする
❏寄付メッセージの中で、団体の課題とその解決策にを明確に伝えていく
❏支援者像を想像し、解決策が実現できた後の変化や地元の魅力の伝わるキーワードをメッセージに入れ込んでいく

職員・在園児の保護者の家族や友人・知人の方々の情報拡散やご支援・ご寄付のお陰で、スタートダッシュの成功を齎しました(2日目で50%を突破)。今回、これだけの人数の在園児・卒園児の保護者の方々が心強いサポーターとなってくださったことは、予想外でもあり、とても嬉しい出来事だったと思います。

クラウドファンディングの情報発信ではより共感度高く自分事化してくださるような人の姿にフォーカスを当てること、そして解決策が実現できた後の変化や地元の魅力の伝わるキーワードをメッセージを大切にして情報発信することが成果につながるのだと思います。

みんなの声

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NPO法人ゆたかの木:代表 京井様

予想を大きく上回るご寄付はもちろん、こんなにも多くの方からのエールをいただけたことが、今後の活動の大きな力になります。伴走支援ありがとうございました。

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伴走支援者:ファンドレイザー 高村

準備の段階から多くの方を巻き込み、毎日コツコツと情報発信を行っていただきました。こどもたちが、自然豊かな静岡をまるごとフィールドに活動できることを大変嬉しく思っております。

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